ワンコの幸せ:コースケ

私が子供の頃、雑種犬のワンコを飼っていました。名前はコースケです。最近まで殆ど思い出すことがなくて、自分でも薄情だと思うけど、あえて思い出さないようにしてたのかもしれません。

私には年の離れた姉がいて、その姉がお友達に貰ったのか拾ったのか覚えてないけど、姉が連れてきた日のとこを幼いながらに何となく覚えています。母は犬を飼う事はダメだと言っていたように思いますが、姉は真面目で勉強も頑張る、お手伝いもする良い子だったと思われ、仕方なく許したのかと思います。

コースケという名前は、姉の好きな中村雅俊のドラマの主人公の名前です。（昔すぎて私でもあまり記憶にないドラマです。）田舎の家なので、庭もそれなの広さもあり、外の犬小屋で飼っていたました。

姉が田舎に住んでた時に、コースケのお世話をどれくらいしてたとか、小さかった私には全く分かりません。私がまだ小学生の時には、姉は高校卒業して、大学のため田舎の家から出て行きました。

私の記憶では、コースケは大人しい犬で、ワンワン吠えたりとか、噛もうとしたりとか、そんな記憶は全くなく、犬小屋でお座りしていた姿を思い出します。私が中学生くらには学校や部活から家に帰って、コースケの頭撫でたり、おやつあげたり、散歩も時間のある時には行ってたような記憶もあります。

ある日、いつものように学校から帰って、コースケに会いに庭に行くも、コースケがいません。母に聞くと「保健所に連れて行った」と、私は「ひどい」と言ったら、母は「もう無理だから」と、それ以上、私は何も聞けませんでした。

コースケは本当に大人しくて優しいワンコでした。近所にウロウロしている猫にも吠えたりすることなく、コースケのご飯を（味噌汁にご飯混ぜたもの）を、その猫と一緒に食べていた姿を今でもハッキリ覚えています。

今になって思うことは、恐らく姉がいた時でも、コースケのお世話は母が殆どしていたと思います。犬小屋はいつもきれいだったし、コースケの毎日のご飯、大人しくて出来ていたのも、母が散歩をちゃんと行ってたのだと思います。私には兄もいたので、学費のために母はパートに働きに出て、田舎だから田んぼや畑の仕事もあって、家事も全て1人でして、祖母や叔母にも振り回されて、本当に母にはこれ以上、コースケのお世話をする余裕がなかったのだと思います。

時期的なことの記憶もハッキリしませんが、姉と兄達が田舎の家から出て行って、その時は子供は私1人だったから、本当は私がコースケのお世話をしていたら、結果は違っていたかも知れません。私はただ、自分の都合の良い時に可愛がっただけで、母の大変さとか、コースケの世話の大変さとか、全然分かってなくて、本当にコースケには取り返しのつかない、可哀想なことをしてしまいました。

コースケに対して申し訳ない気持ちから、コースケのことを思い出さないようにしていたのかもしれません。