看護師として働いていくなかで、失敗して怒られたり、患者さんとうまく関われない、業務がスムーズにいかないなどの理由で、「看護師に向いてないから看護師やめた方がいいのではないか」と思い、看護師をしていく自信をなくすことがあります。
私もそう思ったことは何度もあり、そんな後輩も何人も見てきました。看護師の仕事が向いている人は、失敗したり患者さんの関係に悩んだり、自信を無くすことはないのでしょうか。もちろんそんなことはありません。ほとんどの看護師はそのような思いを乗り越えて仕事をしているので、看護師の仕事に向き不向きは関係ありません。
そして、もちろん患者は人間なので、教科書通りにはいきません。そのため経験の浅い看護師には、同じ病気で同じ手術をした患者さんでも、経過の違いや傷の痛みの程度も違う、それぞれの患者に対して臨機応変な対応をしていくのが難しく、どうしていいか分からなくなり自信を無くしてしまうのです。
看護師として一人前になる過程でみられる壁なのですが、そんなことはお構いなしに先輩ナースに怒られ、患者さんへの対応に悩み、予定通りに進まないどころか業務が増えて仕事が終わらない、そんな負のループで自信を無くしているだけなのです。
看護師になるためには、大学や専門学校でたくさんの勉強と病院実習などを経験も必要であり、その先の国家試験を受けて合格することが必要です。この過程を真面目に頑張って来た人に看護師が向いていない人はいないと思います。本当に向いていない人はこの過程の途中で辞めてしまい、違う職種についているでしょう。
自信を無くしているあなたは、頑張っている証拠です。看護師の仕事に向き不向きは関係ありません。それは誰もがぶつかる壁です。
看護師としてぶつかる壁を乗り越えるために大切なことを、30年以上ナースとして働いた私がお伝えします。
1:看護師に向いていないと思うのは誰もがぶつかる壁
- 看護師の仕事に必要なのは向いている人ではなく、真面目に頑張る人
看護師に向いているといわれる、人とのコミュニケーション能力が高い、責任感がある、体力がある、協調性があるというような性格であれば、問題なく一人前の看護師になれるわけではありません。
どのような仕事も一緒で、素直に真面目に一生懸命に頑張る人が一人前の看護師になるのです。
看護師の仕事は、病気やけがなどで身体的苦痛や、それに伴う不安(病気のこと、仕事のこと、家庭のことなど)で精神的苦痛を抱えた患者さんと関わる仕事です。患者さんは病院に来なければいけない状況であり、人生の中で異常事態の起こっている状況なのです。そのため、患者さんを簡単に理解できません。看護という専門の知識・技術を学校で学んで、患者さんを理解して看護していけるようになるのです。
もちろん、コミュニケーション能力が高い方が患者さんとの関りもスムーズかもしれません。しかし、患者さんと世間話をすることが目的ではなく看護をするためのコミュニケーション技術が必要なのです。
看護師の試験に適性検査があったら、私は協調性などはないから試験に落ちてたと思います。そうなれば私だけでなくもっと多くの看護師はこの仕事につくことが出来てないと思いませんか。
どのような仕事においてもいえることでもあり、素直に真面目に一生懸命頑張るっていけば一人前の看護師になれます。 - 最初から採血や注射が上手な人はいない
看護師には必要な看護や医療に必要な技術はたくさんあります。そのなかでも特に採血や注射は、患者さんが痛みを伴うものでもあるのに失敗のリスクは高く、特に最初は緊張もするもで余計に上手くいかないものです。けれども学んだ知識を生かして経験をつんでいくことで、緊張することもなくなり上手く出来るようになります。
普通の人にはあまり大きな声では言えませんが、私が救急外来で働いていた時のこと、毎年4月中旬くらいから1年目の研修医(新人医師)が当直が始まります。もちろん指導医はつきますが、経験するために点滴などの注射(サーフロー針など)は研修医の仕事です。
医師はおそらく大学で注射の技術を学んでいないと思われ、より失敗しなさそうな見えやすい太いの低い血管を探すところから始まるため、かなり時間もかかりそれでも失敗することもあります。そばにいる看護師の私が、研修医にアドバイスすることもよくありました。それでも、1年が経過するころには血管が細くて難しい患者の注射も上手になっています。
医師になれるぐらいの賢い人でも、最初から何でも上手に出来る人はいません。採血や注射を例にしましたが、どんな看護技術でも、学んだ知識やマニュアルをきちんと理解して経験を積めば上手になります。 - たくさんの患者さんとの関わり経験することで、勉強だけでは学べない看護師としての大切なことを学び成長できる
看護師はすべて患者さんを「患者」という一言で表現できますが、この患者さんは年齢も性別も社会的背景もすべて違います。そのため学校で学んだ知識だけでは個々の患者にあった看護は簡単にはできません。
殆どの病院で、看護師の新人や基礎学年の教育計画に事例検討やケーススタディが組み込まれています。それは患者さんとの関わりがどうであったか、患者さんにとて良い看護が提供できたかを振り返ることが大切だからです。勉強だけでは学べないことを、日々の患者さんとの看護を振り返りることで学ぶことができ、看護師として成長していくのです。
2:看護師を辞める前に考えてみること
1.やっぱり私には向いていないと思える原因
- 失敗が多い
【考えられる問題】
・仕事がなかなか覚えられない
・仕事が出来ない
・仕事が遅い
➡ どんな仕事も、最初は特に緊張して思うように出来ません。
一度も失敗することなくスムーズに仕事ができる人はいません。
最初から仕事が要領よくできる人はいません
【対策案】
・マニュアルに準じて出来てますか。
・マニュアルうをきちんと見直し、自分の失敗の原因は何かを考え改善する
・分からないこと、出来てないことは自分で勉強をする
・周りのスタッフに分からないこと、自信がないことはきちんと伝え、アドバイスやフォローをお願いする
・大丈夫か不安になったり迷ったときは、他のスタッフに確認をしてから行う。 - 業務量が多い
【考えられる問題】
看護師の仕事は多種多様の内容で、業務量がとても多い
・患者の身の回りの世話(食事、更衣、排せつなど)
・血圧・体温の測定(バイタルサインチェック)
・注射や内服薬の準備、管理、実施
・医師の診察の介助
・患者さんの検査や治療にかかわる準備や介助
・患者さんとその家族の対応
・情報収集や記録部署や病院内でのチームや係の仕事
・環境整備(片付けや掃除、感染対策のための消毒など)
➡ 看護師の仕事内容は多種多様に渡っており、業務量はすごく多いです
【対策案】
・業務に必要な準備に忘れているものはないか確認をする。
・準備不足があると業務に余計な時間がかかり、心の焦りや余裕がなくなり業務が増えることを自覚する。
・自分の使用するワゴンや処置台など、ゴミなどはすぐに片づけて作業しやすいスペースを心掛ける。(緊急時は特に大切です)
・患者からの要求はできるだけすぐに行う。「後で持ってきます」は忘れることが多く、患者の不満となりその対応も必要となる。
・経験を重ねていくことで、スムーズに業務は出来るようになります。 - 責任が重い、医療事故が不安
【考えられる問題】
患者の命に向き合う仕事である
➡ 看護師は国家資格を有する職業であり、保助看法という法律も定められた看護師としての責任を背負っている
看護師だけでなく、どんな仕事もお給料をもらっている以上責任がある。
【対策案】
・仕事はどんな職業にも責任はあります。責任のない仕事はありません。
・医療職だけでなく多くの職業が、どこかで誰かの命や健康に関係している。(食品関係、交通機関など)
・仕事の内容では、人の命に直結するか間接的かの違いはあるが、人の命にかかわる仕事は多い。
・会社の業績によって、社員の生活を危うくさせるかなど、形が違うがすべての仕事に対して責任は重い。 - 業務内容が向いていない
【考えられる問題】
看護師の仕事は様々な側面を持っているため、部署によっては自分に合わないと感じて負担は大きい
・慢性期で患者さんとゆっくり関わることが好き。
・急性期で急変などに対応や、救急医療に興味がある。
・手術室の器械の取り扱いや緊張感が合わないなど
➡その部署で仕事をしていけば慣れてしまうことも多い。しかし、合わなければストレスとなる。
個人の性格もあるので、部署によっては合わないと個人の負担は大きい
【対策案】
・仕事に慣れていけばその部署の良さも分かるので、しばらく頑張ってみる。
・部署の異動の希望を上司に伝え、異動をする。
・病院ではなくも訪問看護やクリニックなど、自分に合う場所を考えてみる。
2.こんな大変仕事とは思わなかった、理想と現実の違い
- 人間関係が悪い
最近では男性看護師も増えていきましたが、やはり女性社会なので人間関係は大変です。
仕事上でも患者さんの命を預かる仕事なので、厳しい看護師も多いと思います。
自分にとって怖い人や意地悪な人や嫌な人もいるかもしれません。
しかし、どの職場にいても1人や2人は怖い人や嫌な人はいるものです。
仕事上の付き合いと割り切ってその人とか付き合いましょう。
意外と嫌な人は近い未来に移動などで、いなくなることもよくあります。
嫌な人もいるけどいい人もいるはずです。性格の悪い人はかわいそうな人と心の中で思っておきましょう。
あんな風にならないように気を付けよう、と心の中で思っておきましょう。 - 夜勤がつらい
看護師に夜勤の仕事がある事は一般的に知られていますが、自分がしてみると想像以上にしんどいです。
しかし、夜勤が終わって帰るときの解放感は格別です。慣れれば夜勤の方が良いという看護師もいます。
夜勤手当もつくため、夜勤がなくなると金銭面で寂しくなります。。
今は24時間営業の店も多く、夜に働くのは看護師だけではありません。
自分の休みに使わず夜勤明けに昼間の用事(役所や銀行など)をすることもできたり、子育て中なら学校行事に参加できたり良いこともあります。
私の友人も夜勤がしんどくて病院をやめて、訪問看護師として働いています。
夜勤をしないで働くという選択肢、部署移動や訪問看護などへの転職もあります。
3.看護師のお給料と生活レベル
一般の女性が働く仕事の中では、看護師のお給料は高いといえます。
それは夜勤手当、残業手当などがあるからです。
パートでも働いても、時給は一般的な仕事とぐらべると高いです。
その給料で生活をしているため、他の職業はどうしてもお給料が少なく感じてしまいます。
給料が下がると生活レベルも下がるため、看護師を辞められない人もたくさんいます。
パートで働いても一般の時間休より高く、仕事の負担も正社員より少ないため、パートで働く若い看護師も多くいます。。
また奨学金をもらって辞められないひともいます。生きていく上でお金は必要なので、奨学金があれば3年間は我慢して働くことも必要です。
看護師は仕事であ、生活のためや子供の教育費も必要だから働くなど様々な理由はありますが、お金のために働くことは必要です
4:自信をもって働く看護師は危険あり、自信はなくて普通
☆自信を持って働くことが良いことだか、疑う目が必要
看護師は患者の命にも関わる仕事です。そのために、頑張って勉強をして知識を身に着けて自信を持つことは良いことです。
本来自信を持って働く事は良いことですが、しかし人間はミスをすることもあるので自信に危険につながることがあります。
それは、自信があるからこそ、思い込んでしまったり確認不足につながることがあり危険なのです。
自信があっても大丈夫かどうか疑う目を持ち、何度も確認すること必要です。
☆看護師は患者に責任を持つこと大切だが、患者に自信を持つことは危険
看護師は自信を持って患者さんを看護することが必要ではありません。
看護師が患者さんに分かりやすいと自信をもって説明をしても、患者は緊張であまり理解できていなかったり、違うように受け止めることもよくあります。看護師の仕事において自信をもってすることは良いことではありますが、自信をもってしたこと(看護)の結果が、患者さんにどうであったかが大切です。
看護師として患者さんに行った看護がどうであったか、その結果に責任を持つことが大切です。
☆.医療現場で大切なことは、自信ではなく確認すること
医療事故の多くは確認ミスです
看護師の仕事は特に患者さんの命に直接かかわる仕事なので、ささいなミスも重大な事故につながります。
看護師だけではなく医師薬剤師などすべての医療従事者が1番気をつけなければいけないのは確認です
すべての医療従事者にとって何より大切なのことは確認なのです。
いつもきちんとしているのにまぁこれは大丈夫かなと思った時に医療事故は起こります
自信満々で大丈夫だと思ってたことがミスにつながることもあるため、自信がなくて不安になることは普通のことです。
だからこそ、看護師に必要なのは自信ではなく確認することです。
看護師としての大切なことをこちらのブログにも書いています。
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